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 私は韓国の女性と結婚して韓国に渡り、12年間の韓国生活を経て帰ってきました。現在は、韓国法人である印刷・出版会社の日本支社に勤務しております。
 異国人の妻との共同生活を通して、そして実際に韓国で滞在してときに経験したことを根拠として、日常生活の中で感じるをアップしていきたいと思います。
【(株)成誌イーディーピー SEISHI EDP CO,. LTD】
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5 情のキャッチボール
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     日本の冬を過ごすに当たって、韓国人の家内が常に不満を漏らすのが、日本の部屋の中が寒いと言うことである。私が住んでいる所は、真冬でも気温が零下になることは少ないが、家内に言わせれば、外の方が暖かいと感じられると言う。
     韓国では「オンドル」といって、床暖房がなされている。昔は薪をたいて温風を床に通して部屋を暖めるものであったが、現代では、ボイラーで水を温め、部屋の下に温水のパイプを張り巡らせている。一般的な家では、そのパイプを設置した後、その上をセメントで塗り固め、最後は「チャンパン」と呼ばれる厚さ5mmくらいの表面には木目とかの模様を印刷したビニールのシートで覆う。セントラルヒーティングのように上から温風が吹いてくるのではなく、床から暖めるので、布団を敷いて寝ていても、芯から温まる優れ物である。ソウルの冬は零下10度くらいになることも多いが、部屋の中はパンツ一丁でいても寒くない。勿論、床暖房だけでなく、窓は必ず二重窓になており、その辺の防寒対策もしっかりしている。

     ところで、家内は日本の部屋が寒いのを見て、「だから日本人は薄情であり、情がない」と、日本人にとっては聞き捨てならない主張をする。人間が寒い思いをしないように、せめて部屋の中だけでも暖かくするべきなのに、それをしないのは「情がない」というのである。
     さらに家内は、日本では「情の行き場」がないともいう。ある時、家内がキムチを漬けて近所の人にお裾分けしようとしたら、私の母親がそれを制止した。日本では、先進国化が進んで個人の生活を尊重するようになり、必要以上に他人に関心を持つことは失礼である。相手が必ずしも喜ぶとは限らない物を贈ることは失礼にあたるとしたのである。
     しかし、韓国では、食べ物を分け与えて食べるのは、常識である。食べ物を買ってくるにしても、必ず全員の分を買ってくるし、もし、全員の分がなかったとしたら、必ず分けて食べる。日本のように自分の食べる分だけを買ってきて、しかも食べ残ったとして食べ物に名前を書いて、他の人が食べられないようにするのは、韓国人には理解できない。
     家庭でおかずを多めに作った時は、近所の人に持っていて配るのが普通である。そして、もらった方はもうらうことに関しては負担にならない。日本のように、何かもらったら「お返し」をするという負担が一切ない。次回、自分が多めにおかずを作ったときは、そのときに持って行けばいいと思っているからである。また、親しくなった近所の人の家に遊びに行ったら、勝手に冷蔵庫を開けて物色することが多い。
     韓国では、相手に関心を持ってあげることが良しとされるが、日本は、その逆である。韓国では、例えばこのキムチという物を通して、お互いに情の行き来が成立するが、日本では、それを断絶してしまう。

     だから、家内は自分の情を近所の人に向けようとしても、それを拒否されてしまうため、情の行き場がなくなり、日本人は情がないという結論を出したのである。
     その家内の鬱憤を晴らしてあげるために、私はどれほど、家内と「喧嘩」をしたか分からない。話を聞いてあげるのではなく、喧嘩をわざとしてあげるのである。日本人は喧嘩をしてしまうと、二人の関係は冷めてしまう。しかし、韓国人は相手と喧嘩することによって、さらに仲が良くなる。喧嘩をしながら、自分の言いたいことはすべて言い合い、自分の感情の全てをぶつけ、相手が考えていることをお互い把握することによって安心するのである。
      また、喧嘩しながら、徹底して大きな声を出すことにより、ストレス発散にもなる。だから、家内は私と喧嘩した後は、すっきりしたとして、いきなり一人で勝手に平静に戻ってしまう。喧嘩することにより、家内は私との「情のキャッチボール」が成立し、鬱憤がいっぺんに吹き飛んでしまうのである。
     ところで、私と同じ日本人夫と韓国人妻のカップルにおいて、韓国人妻が不満に思うことの第一は何かというと、それは妻が夫婦喧嘩をけしかけても、夫が相手にせず、黙り込んで逃げてしまうことである。夫は日本人としての感覚が発動して、喧嘩を避けてしまう傾向にある。それが、妻にとっては無視されたと思い、感情が完全に爆発してしまうというのである。
     
     韓国人は日本人以上に、「情」が先走る民族性があり、その「情」というものが人と人の間を循環せず、滞ると死ぬほどのストレスを感じてしまう民族である。それで、家内のよどむ「情」の通りをよくするため、喧嘩を進んで買ってあげる私の姿があった。
     情のぶつかり合いを無意識に避けてしまう日本人は、この韓国人の情の波動にたじろいてしまう。しかし、本音と建て前を区別せずに、直接、情をぶつけてくる韓国人は、日本人にとってみれば、相手の考え方を容易に把握できる相手でもある。
    | 国民性 | 10:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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